こんばんは!ツッチーです
今日のブログはちょっと真面目に書きます・・・・いつも真面目ですが(笑)
そして超長いです。
前から書こう書こうと思っていた内容なのですが中々書くタイミングが無く、先延ばしにしていたのですが本当に同じ内容の問い合わせが多いので今日しっかり書きます。
それはここ数年問い合わせが非常に多いR56、R60系直噴エンジンのインジェクター清掃について。
「いくらですか?」「やってますか?」「やった方がいいですか?」
と、その前にインジェクターって何ぞ?という方もいると思いますが簡単に言うとエンジン内部にガソリンを供給する霧吹きみたいな物です。
まぁそこが汚れるから取り外して清掃しましょう!って言うのが巷で流行り?(流行ってるのか?)のインジェクター清掃です。
話は戻ってボンドミニ的回答は
R56系R60系直噴エンジンのインジェクターを取り外しての清掃は行っておりません。
理由は大きく2つ
まず1つは「費用とリスク」
ココからは結構専門的な話になるので詳しくない方はチンプンカンプンだと思いますが、なるべく分かり易く書きます。
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先ずこれが新品インジェクター
汚れた画像は画像検索すればいくらでも出てくるので端折りますが、直噴エンジンは使っていると燃焼室に出ている先っぽが真っ黒にカーボンスラッジで汚れるので、そんなの見たら普通は綺麗にしたくなりますよね。
でもちょっと待って!!!
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矢印が刺す白い部品、コレ知ってます?
インジェクターシール(テフロンリング)って言う部品です。その名の通り燃焼室からガスが漏れないようにシールしている部品です。
余談ですがトヨタの86はサーキットでブン回すとコレが破損して圧縮漏れをおこしパワーダウンするというのは一部で有名な話だそうな・・・。
話が逸れましたがこのシール、インジェクター脱着時には必ず交換しなくちゃいけない部品なのです。
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BMWのサービスマニュアルにも記載されています。
まぁ燃焼室のシールですからそらそうです
再利用とか怖すぎるでしょ柔らかくなるから10分以内にとか書いてあるし・・・
様々な修理や交換手順が載ってるサービスマニュアルで「新品を用意してね!」は多いですが「再利用禁止!」は意外と少ないです
それくらい重要なパーツって事ですね。
もし交換する場合はシールの脱着にSST(スペシャルサービスツール)が必要で取付前にこれまたSSTでサイズ調整して取り付けるという・・・・
まぁまぁ、それは良いです。でもココで問題発生!
このパーツを含めたリペアキットこれ

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1万円とチョットします。
1台分じゃないですよ?1本分です。
つまり1台分は4気筒なので4万円とチョット
なのでどんなに良心的な価格で作業しても最低4万円チョットは部品代がかかる訳です。逆に言うと4万円以内で作業するという事は「シール再利用してます」って事。
「今までやって問題ない!」の声も聞こえて来そうですが、それは再利用して大丈夫という根拠にはなりません。
勿論サービスマニュアルが全てとは思いませんし、作業ノウハウもそれぞれだと思いますので世の中の他のショップにはウチが知らない手順やノウハウがあるかもしれません。
なのでインジェクターを取り外して清掃すること自体は否定しませんが、ボンドミニ的考えで行くと「費用が合わない」、「現実的な金額ではお客様に大きなリスクがある」と考えています。
そして理由の2つ目
それは「清掃手順」と「効果」
こびり付いたカーボンスラッジは容易には落とせないので通常インジェクターの清掃には専用機器を使用して行います。
磨いたり拭いたりでパッと見、キレイでも肝心の噴射口やその奥が汚れていたら意味無いですからね。
というか極端に言うと表面の汚れなんてどうでも良いのです。だって燃焼室に出てるんですから汚れて当然。汚れて無い方がどうかします。
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同じ様に燃焼室で仕事をしているプラグだってどんなに調子良くてもチョット走っただけでカーボンスラッジで真っ黒けですが清掃しましょう!ってならないですよね?
プラグなら大事なのはちゃんと点火(スパーク)するかどうかという事
gasoline_direct_injection_buick36v6.jpg※イメージです。
ちなみに直噴のインジェクターを横から見るとこんな感じ
さっきのインジェクターシールもいかに重要なパーツか分かりますね。
インジェクターで大事なのはちゃんと燃料が噴射できるかどうかという事。
「汚れている」=「噴射状態が悪い」 ではないという事です。
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まぁやったって話は聞いたことはありませんが一応BMWサービスマニュアルでは超音波洗浄機での洗浄が指示されています。
メガネと一緒。超音波なら傷付けずに細部まで綺麗に出来ますからね。理に適ってます。
某有名インジェクタークリーニングシステムでも通電して内部まで超音波洗浄機で洗浄するそうです。
と、ここまで書いてなんなんですが、そもそも清掃どうこうの前にそのインジェクターの噴射状態が本当に悪いのかどうか?
だって直噴エンジンのインジェクターは50〜200barとトンデモ圧力で噴射しているんですよ?1cm平方に約200kgもはや凶器(笑)
F1のエンジンは500barだとか
またまた脱線してしまいましたが、目視で汚れているかどうかだけが判断基準とは、いささか判断材料として不十分ではないでしょうか?
繰り返しますが直噴エンジンの場合、インジェクターの先端は燃焼室に出てるので汚れて当然な訳ですから。
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またまた登場してしまいましたが某有名インジェクタークリーニングシステムでは噴射状態を目視で確認し、噴射量も測定します。
清掃後にも噴射状態と噴射量を測定し、それでもダメなインジェクターは交換という事。
つまり今、巷で多く行われているDIY的なインジェクター清掃は事前の測定も確認もしない物を良くなったかどうかも分からずに再び取付けるという事になってしまわないでしょうか?
「いや、清掃したら調子良くなったよ?!」「アイドリングが安定した!」等、体感されている方も多いそうですが、上でも書いたように安価に作業した場合、大きなリスクがある作業で「なんととなくの体感」では当店で作業を承ることは出来ません。
以上がボンドミニの考える「インジェクターを取り外して清掃する」事についての考えです。
しつこいようですが清掃行為自体を否定する訳ではありません。
あくまでも当店が今ある情報や実績で判断しての「当店としての見解」です。誤解の無いようよろしくお願いします。
明日はいつも通り真面目にゆるいブログを書きます(笑)